生品に応用されて30年 液晶は生活の必需品に 自動車のカーナビ、電車の車両内や飛行機の機内で見かけるディスプレイ。最近、液晶を見かける場所が増えている。テレビなどのデジタル家電、PCやノートブックパソコンなどの情報家電を通じて、液晶は人々の生活にも溶け込んでいる。これほど急速に液晶の活躍の場が広がった背景にはいくつかの理由がある。それは液晶技術がここ数年の間に「数字・文字表示からグラフィック表示へ」「モノクロ表示からカラー表示へ」「静止画から動画へ」「小画面から大画面へ」と大きく進歩したからだ。 液晶の存在は、1888年にオーストリアの植物学者ライニツァーによって発見された。その後、液晶が電界や温度によって分子構造が大きく変化し、光の通し方が変わることがわかった。1968年には、この性質を応用した表示装置が完成する。これが液晶ディスプレイ(以下、LCD=Liquid Crystal Display)の起源だ。 1973年、国内の電機メーカーの手によって、液晶が世界で初めてFX (電卓の表示部分)に応用された。3年後の1976年には、英国ハル大学のグレイ教授によって安定した液晶材料(ビフェニール系)が発見される。現在のLCD材料の基礎となる液晶である。 パネルの大型化で 市場拡大に拍車 デジタル家電の、三種の神器に数えられる液晶テレビは、1億台にも上る潜在的な市場規模があるといわれている。2005年にはLCDがテレビの10%以上を占有するとの予測もある。こうした予測の背景には、液晶テレビの大画面化という動きがあるようだ。 今年の10月初め、液晶テレビとしては世界最大サイズとなる65V型のフルHD液晶テレビの開発も発表され、40インチ以下は液晶、40インチ以上はプラズマという通説も崩れつつある。それを実現させたのが、第6世代のマザーガラス(液晶パネルの元になるガラス基板)量産技術であった。これで、画面サイズでの液晶テレビとプラズマテレビとの棲み分けはなくなりそうだ。液晶テレビがプラズマテレビのターゲットを包括することになれば、液晶市場はさらに拡大することになる。
生産量増加で 更なるコスト削減が可能に 液晶パネルは、電極や配線を構成したアレイとカラー表示用のRGB(赤・緑・青)の着色を施したカラーフィルターと呼ばれる2枚のガラス基板で液晶を挟み込む。これに液晶のドライバとなるICや入力基板を取り付けたものが液晶パネルである。つまり、マザーガラスはアレイやカラーフィルターに加工する前のガラス基板ということになる。 現在、このマザーガラスが1870ミリ×2200ミリサイズの第7世代へ移行しようとしている。1991年から製造を開始した第1世代が320ミリ×400ミリだから、10年ちょっとで面積比32倍強にサイズアップしたことになる。もちろん、液晶テレビの大画面化が最大の理由だが、もうひとつ、コストダウンという大きな目的があった。大きなガラス基板から取れるパネルの数量が増えれば、生産効率がアップするからだ。生産コストが抑えられれば、同等の製品であっても、他社よりも安い価格で市場に投入することができる。だからメーカーは、できるだけ大きなマザーガラスを使用して、液晶パネルを製造しようと鎬を削っている。 こうした次世代競争を支えているのが、液晶パネルの製造装置や検査装置を含めた生産技術である。サイズが大きくなればなるほど、マザーガラスは従来の生産技術ではクリアできない課題を突きつけてくるからだ。 たとえば、第6世代の日経225 は厚さが0.7ミリ、大きさは1500ミリ×1800ミリと、大変薄く大きい。しかも、一般ガラスの表面の凹凸がプラスマイナス約0.2ミリに対し、マザーガラスは0.1ミクロン。一般ガラスの2000倍も平らだ。これほど繊細でデリケートなガラスを素材に、液晶パネルは製造される。“たわみ”“振れ”をいかに防ぐかなど、品質検査や裁断時のハンドリングには、数多くの先端技術が求められる。こうした技術的課題に真っ向から取り組み、最先端の液晶製造・検査装置のシステムアップを通じて、液晶パネルメーカーの要望に応えている企業がある。それが日立ハイテクノロジーズだ。 アレイ・カラーフィルタ製造工程に欠かせない「LCD ウェットプロセスシステム」や「大型ガラス基板露光装置」には、精度の高いステージ制御技術や光学系技術を惜しみなく搭載し、マザーガラスの大型化に対応している。 露光装置は81%と圧倒的なシェアを誇っている。また、マザーガラス表面の異物や傷などを調べる「大型ガラス基板検査装置」も第7世代に先行対応。アレイとカラーフィルターの2枚の基板を重ね合わせ、その隙間に液晶を封入するセル工程や、液晶駆動用ICを接合するモジュール工程などにおいても、先行開発を通じて高速・高精度・高生産・省スペースの製造装置・検査装置を開発し、高い評価を得ているのだ。 「私たちのビジネスは自社製品の提供を通じて、顧客にとって最適な液晶パネルの製造システムを提案することです。最先端の工場を丸ごとつくりあげるようなものだといえるでしょう」と語るのは、株式会社日立ハイテクノロジーズ執行役(現執行役常務)の和田氏だ。同社の強みが高度な技術開発力であることに間違いはない。ただ、自社プロダクトの優位性だけでは、技術革新のサイクルが早い液晶の世界にあって、これだけのシェアを獲得することは困難だったはずだ。それを可能にしたのは、専門メーカーとのアライアンスなど商社機能を発揮して、同社でラインアップしていない製造・検査装置の導入をも可能にした提案力であり、液晶業界全体を見渡す広い視野を持って、製造プロセス全体を構築するハイテク・ソリューションにある。 「これを1年以上前から仕込みます。顧客が新しい製品の開発を発表する頃には、投資信託 もできあがっているというわけです(同氏)」。液晶メーカーにとって、製造・検査装置を含めた製造システムは、競合他社との差別化を図る重要なポイントなのだ。だからこそ顧客が同社に要求するレベルは高く、スピードが求められるという。 もちろん、顧客が1年以上も先の計画を同社に明かし、アイデアを求めるというパートナーシップを見逃すことはできない。技術供与を含め、これほど重大な案件を共同で開発しようと試みるところに、同社の技術力に対する顧客の信頼度が垣間見える。顧客は、新製品の成否を彼らに託しているのだ。液晶市場が活況を呈しているのは、日立ハイテクノロジーズのように液晶メーカーを、全面的にバックアップする企業が存在するからかも知れない。やはり、デジタル家電・情報家電のこれからを、液晶製造システム抜きに語ることはできそうにない。
創薬の開発効率や難病の早期診断に 革命が起きるか? 従来、創薬分野は偶然性に頼る面も多分にあった。しかし、最近では身体の設計図に相当するヒトゲノム(全遺伝情報)などの解読結果を活用して、医薬品を開発するゲノム創薬という手法が取り入れられるようになった。これは遺伝子レベルで病気の仕組みを解明することで新薬候補を探す手法で、薬効が高く副作用が少ない薬の開発に大いに役立つと言われている。 ただしヒトゲノムは生体活動の単なる設計図に過ぎず、その設計図から、どんなたんぱく質が生み出され、それぞれのたんぱく質がどんな機能を発揮するのかを解明することが重要ということが分かってくると、たんぱく質からアプローチする動きも非常に活発になってきた。遺伝子情報が設計図であるとすれば、タンパク質は体内で起こる様々な生体活動を制御する実行部隊だ。したがって人間の身体の中で、ある変化が起きるとき、特定のタンパク質の存在が確認できる。簡単に言うと、健康体の人間と病気を患っている人間では、体内のタンパク質の状態や種類が違う。この病因タンパク質、いわゆる「疾病マーカー」となるタンパク質が特定できれば、将来的には各種の病気に有効な医薬品をピンポイントで開発することができる。医療の現場では、難病の早期診断、早期治療に道が開けるほか、予防医学の大きな発展につながると期待されている。 「疾病マーカー」ともいうべき 病因タンパク質の探索には欠かせない 実際の研究では、健康な人と患者の血液や組織を比較分析して、外国為替証拠金取引 マーカーとなる病因タンパク質の手がかりを得る。その際、威力を発揮するのが、2004年10月に発売を開始した日立ハイテクのタンパク質解析専用分析装置「NanoFrontier L」であり、手厚いサポート体制だ。 タンパク質は、一般の液体クロマトグラフよりも精度の高い極微流量液体クロマトグラフ(nano LC)を使用してサンプルを分離させた後、質量分析計(MS)を用いて解析するのが一般的だ。ところが、両装置をシステムアップして販売しているメーカーは世界中を捜してもほとんど無い。このため研究者はnano LCとMSをそれぞれ別のメーカーから購入することを余儀なくされていた。ここにいくつかの課題がある。両装置の接続部分こそ、感度・精度の高いタンパク質解析を実現するキーポイントであり、この部分では、nanoスプレー部での詰まりや配管部分での吸着などが起こる可能性が高く、使用する研究者に高度なノウハウが要求された。つまり、誤解を怖れずに言えば、従来のシステムはその重要な部分を研究者任せにしてきたわけだ。 「NanoFrontier L」の最大の特長は、nano LCとMSが一体化された解析装置だという点である。これによって、両装置の接続部分に必要となる高度なノウハウを研究者に強いることもなくなった。ハード面におけるメンテナンスの負担や、幾多のトラブルから研究者を解放した。また、ソフト面においては、新設した専任のアプリケーションチームが、研究者サポートからデモ、データ取得、外部機関との連携、そして最先端研究者のノウハウを蓄積し、開発へのフィードバックを行うなど、あらゆる角度から研究者のプロテオーム解析を支援する体制を整えたのである。
50nL/minのnano LC流量を実現する 高度な技術力が、タンパク質解析を進化させる 「NanoFrontier L」に搭載された高度な先端技術も見逃せない。微量のタンパク質を解析するためには、極微量で動作するnano LCでサンプルを分離することが重要であり、分離するための溶離液の流量が少ないほど感度が上がる。そのため、通常の液体クロマトグラフの流量は1mL/min程度だが、「NanoFrontier L」はその20,000分の1、つまり50nL/minを実現している。日立ハイテクは、独自の技術により良質の再現性を誇るサンプル分離手段を確立したのだ。また、多段解離(MS/MS)解析と高分解能・高精度のMS測定を両立し、アミノ酸配列情報によるタンパク質同定の信頼性向上を実現するなど、研究者ニーズであるプロテオーム解析に特化した専用MSシステムを完成させた。 「NanoFrontier L」の登場が、 競合他社との差別化を図る 「プロテオーム関連の研究者の皆様が、なるべく早くいくつかの病因タンパク質を疾病マーカーとして特定できるよう、我々もサポートしていきたいですね」と語るのは、株式会社日立ハイテクノロジーズの昇氏だ。 日立ハイテクは、従来最先端の技術を持った研究者のみが可能であった超微量のタンパク質の解析において、これから幅広くプロテオーム研究者の方が、ルーチンのツールとして安心して使える装置作りを目指す。「DNAは微量のサンプルであってもPCR等の技術により増幅して増量できる。しかし、タンパク質は、微量なものを微量のまま測定しなくてはならず、DNAの解析と比べ格段に難しい。少しでもお客様のニーズに応えられる装置を提供できれば、それだけ科学の進歩に貢献できるはず」という昇氏の言葉にはナノテク企業、分析機器メーカーとしての強い自負が感じられた。 ポストゲノムともいうべきプロテオーム解析は、国内外のバイオ研究者がしのぎを削る技術戦争と化しているが、幸いにして日本には「NanoFrontier L」がある。プロテオーム解析にフォーカスして装置を開発し、積極的にユーザーをサポートしてくれるメーカーが存在する。「日本のバイオ研究者たちのユニークなアイデアを、当社の装置で実現してもらい、近い将来、プロテオーム解析においては欧米をリードする流れに持っていければというのが我々の理想です」。タンパク質を網羅的に調査し、データベース化をめざす研究者にとって、これほど心強いことはない。